研究課題
顕微質量分析計からの二次元蛋白データは、相関構造を持ったTOF/MSデータの集合であり、蛋白発現プロファイルの関数データの抽出にはinhomogeneously smoothな関数の平滑化が必要である。このため、不連続点あるいは微分不能な点を含む目的関数を、ノイズを含んだデータから推定するのに適したadaptivefree-knot splineの理論的研究およびプログラム開発を行った。また、蛋白発現データを微分不能な点を持つ確率分布から得られたものと解釈し、きわめて特異な確率密度関数の推定問題として研究した。さらにこれらを用いた判別問題への応用も検討した。特にタンパク発現データを、不連続点や微分不能な点を持つ特異な確率分布からの実現値としてとらえる解析は他に類例のないものであり、適応的ビンを持つヒストグラム、および多重節点をもつ適応型対数スプライン密度推定量として研究を行い、データ適応型ヒストグラムについては"Data Adaptive Histograms for Nonparametric Density Estimation"なるタイトルの研究論文として投稿した。共同研究者と共に顕微質量分析計データから、ROI(Region of Interest)の判別に有用なピーク情報を抽出するためのソフトウエア開発を行い、その成果の一部を第59回質量分析総合討論会、American Association for Cancer Research Annual Meeting 2012などで報告した。
2: おおむね順調に進展している
研究の理論面については、データ適応型ヒストグラムの研究を行い現在校正中である。また、ROI判別のために開発したプログラムについては、共同研究者が学会等で報告した。
平成24年4月1日付で、所属先が(公財)がん研究会から東北大学大学院医学系研究科に代わり、研究の実施体制に変更が出る可能性がある。その場合は、理論面の研究を進め、公開データなどで実証分析を行う予定である。
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Journal of Chemical Engineering of Japan
巻: 45 ページ: 239-244
Thoracic and Cardiovascular Surgeon
巻: (In press)