蛋白質立体構造の比較解析法を開発した。対象とするデータは複数の蛋白質の三次元座標で、蛋白質それぞれに複数のコンホメーションが得られている場合である。そのような蛋白質‐コンホメーションという階層性に着目し、蛋白質別変動と蛋白質内変動を考慮する混合効果モデルを用いた。推定方法はEMアルゴリズムをベースとしているが、それぞれの蛋白質に固有のズレを推定するために事後分布最大化を用い、さらには、ズレの個所を限定し、分子の特徴を抽出するためにL1正則化を組み入れた。この推定法の各反復において、独自の共分散行列を対象とした特異値分解により、分子の重ね合わせのための回転行列を推定した。数値テストの結果、本比較解析法は蛋白質の特徴的な構造を抽出するために効果的であると考えられた。
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