研究課題
代表者・坂本は、迷路ゲーム遂行中のサル前頭前野・背側運動前野の活動を解析した。前頭前野の神経活動については、前年度につづき、迷路のゴール表現の遷移前に見られる発火ゆらぎの解析を並行して解析した。その結果、サドル・ノード分岐、熊手型分岐、ホップ分岐のいずれでも発火ゆらぎは見られることが明らかとなった。また、そのようなゴール表現の自発的な変化を神経回路のアトラクタ再構成によってモデル化した。一方、背側運動前野の神経活動は、行う可能性のある行動を並列多重に表現していることが昨年度の結果より明らかとなったが、それらは、カーソルの方向やカーソルの経路など認知的なものであり、腕の動きなど運動に直接関わるものは少ないことが明らかとなった。一方、分担者・橘は、脳性まひ児等がパソコン・インターネットを試用できるよう大型のキーボードの開発を進めている。脳性まひ児の空間認知・行動能力を考慮すると、キー配置は単なる格子状ではなく、対軸から放射状、つまり、自己中心座標(エゴ・セントリック・マップ)に従った配置が望ましいという結論にいたった。また、キーボード操作のような離散的・無負荷な運動に加え、連続的かつ環境と相互作用し、かつ、環境との間にグローバル・エントレインメント(脳・神経系-筋・骨格系-環境の間にリミットサイクルが形成されている状況)が形成されるような訓練機器の有効性について検討し、試作を進めている。
1: 当初の計画以上に進展している
サルの神経生理学的な研究では、創造的に行動を計画する前頭前野と、リスクに備え多重に行動を準備する背側運動前野という予想以上に対称的・相補的な機能分化が明らかになってきたこと。臨床面では、当初の計画が発展し、左右上肢と環境との間のグローバル・エントレインメントを利用した訓練機器や、・四肢不自由患者の空間認識能力も考慮したコンピュータ・インターフェースの開発が進んでいること。これらが理由である。
今後は、動物の疾患モデルの開発などが問題となるであろうが、本研究期間および予算規模の範囲外であると思われる。技術的には、インターフェースの小型化が問題であるが、現在、ポータブル型を開発中である。
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