研究課題
脊髄運動神経は、発生期に特定の筋へと投射するが、特定の運動神経軸索を特定の筋肉へ誘導する分子機構については明らかにされていない。Pma(Peroneal muscular atrophy)マウスは実験動物中央研究所で発見された自然発生の変異マウスで、先天的に腓骨筋の特異的な萎縮を持つ。その原因は、腓骨筋が腓骨神経に支配されないために起こる神経原性の萎縮であることが分かっている。従って、Pmaマウスは、特定の運動神経投射のみに異常を持つことから、運動神経の選択的投射機構を解明する上で有用なモデル動物になると考えられる。我々は、これまでに、連鎖解析により候補領域の絞り込みを行い、原因候補遺伝子の検索と発現解析を行うとともに、運動神経軸索の走行を可視化するために、脊髄運動神経特異的にEGFPを発現するトランスジェニックPmaマウスを作成した。このマウスを蛍光実体顕微鏡で観察した結果、後肢の肢芽に運動神経が伸長しつつある胎生12.5日に、Pmaマウスでは既に本来の場所に腓骨神経の走行が見られず、代わりに座骨神経から背側へ向かって伸長する異常な神経線維走行が見られた。胎生13.5日以降は、胎児のホールマウント観察ではEGFPの蛍光が十分でないことと、細部に渡る観察を行う為、連続切片を作成し、抗GFP抗体で免疫染色した後、顕微鏡写真を撮影し、それらを三次元構成した。その結果、胎生12日から神経投射の異常が観察され、その神経線維は少なくとも胎生14.5日まで存在していることが明らかとなった。またその神経線維群は、正常マウスに於いては比較的細い臀部神経の投射と似た方向へ伸長しているように見えた。
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