研究概要 |
22-23年度の研究の結果,延髄吻側腹外側部(parafacail region)のPhox2b陽性細胞は,直接CO2濃度変化を受容することがわかった.多くの場合,高CO2受容性脱分極はカリウムチャネルの閉鎖によることがわかった. 24年度は,カリウムチャネルの候補である酸感受性カリウムチャネル(TASK1,2,3)の延髄吻側腹外側部における発現をin situ hybridization法を用いて調べ,高CO2刺激受容における関与を検証した.また,pFRG/Pre-Iニューロンの活動をカルシウムイメージングを用いて検証した. TASK1, 2, 3チャネルは,吻側延髄では顔面神経核の運動ニューロンに強く発現していた.しかし,その腹側部にあるpFRGには明瞭な発現は見られなかった.顔面神経核のニューロンから膜電位を記録し,高CO2/低H+に対する応答を調べた.低H+に対しては脱分極応答を示したが,高CO2刺激に対しては,過分極応答を示した.一方, pFRG/Pre-Iニューロンは,いずれの刺激に対しても脱分極応答を示した.これらの結果から,TASKチャネルはpFRG/Pre-IニューロンのCO2感受性には主要な役割は果たしていないことが確認された.カルシウムイメージングによりpFRG/Pre-Iニューロンのバースト活動を,非常に明瞭にとらえることに成功した.ただ,これらのニューロンがPhox2b陽性ニューロンであるかどうかの同定は困難であった.この問題を解決するために,我々は Phox2b遺伝子の発現制御領域下に蛍光タンパク質(EYFP)を発現させたトランスジェニック (Tg) ラットを作成した.現在,このラットを用いてカルシウムイメージングによるpFRGニューロンのバースト活動の解析を行っている.
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