研究課題/領域番号 |
22500298
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
明間 立雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60128585)
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研究分担者 |
藤岡 仁美 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (50410064)
掛橋 千彰 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (80535683)
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キーワード | COX-1 / GnRHニューロン / ミクログリア |
研究概要 |
1.GnRHニューロンとシクロオキシゲナーゼ(COX)-1腸性ミクログリア(MG)の解剖学的関係の検討 申請者らは先行研究で、GnRHニューロン細胞体が多く存在する視索前野ではCOX-1はMGのみで発現していることを明らかにした(J Neuroendocrinol,2009)。本研究では、GnRHニューロンとCOX-1陽性MGの解剖学的位置関係を更に明らかにするため、GnRHとCOX-1、CD11b(MGのマーカー)の3重蛍光免疫染色を行い解析した。その結果、GnRHニューロンに非常に近接してCOX-1陽性MGが存在することが明らかになった。この結果はGnRHニューロン近傍のMGがCOX-1によるPG合成を介してGnRHニューロンの調節に関与している可能性を示唆するものである。(第89回日本生理学会発表、および論文投稿中) 2.MGにおける性ステロイドホルモン受容体発現の有無の検討 性ステロイドホルモンがMGを介してGnRHニューロンの機能調節を行なっている可能性を検討するため、プロゲステロン受容体またはエストロゲン受容体α、Gタンパク質共役型エストロゲン受容体とCD11bの2重免疫染色を行い解析した。その結果、MGにおいてこれら受容体の発現は観察されなかった。従ってMGによるGnRHニューロン機能調節は性ステロイドホルモン非依存的である可能性が示唆された。(第89回日本生理学会発表) 3.In vitro 系を用いたMG由来因子によるGnRHニューロン調節と関与因子の検討 成体マウス視床下部より単離したMGを用いた実験を計画し、平成23年度はMGの単離・培養の条件検討を重ねたが、純度の高いMGを高生存率で得ることが困難であった。そこで、次年度は計画を変更しMGの株化細胞(MG6)を用いてGnRHニューロン調節への関与を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画していたin vitroの実験は技術的な問題によりミクログリアの初代培養から株化ミクログリアの培養へ系の変更を行うことになったが、in vivoの実験では、COX-1陽性ミクログリアとGnRHニューロンの解剖学的位置関係や、ミクログリアにおける性ステロイドホルモン受容体発現の有無を明らかにするなど、一定の研究成果が得られており、研究計画全体の達成度としては、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、昨年度に引き続き、in vitro系を用いたミクログリアによるGnRHニューロンの調節を検討する予定である。更にGnRHニューロン機能へのミクログリアの関与をさらに検討すべく、以下の実験を計画している。 拘束および感染ストレスによる黄体形成ホルモン(LH)放出抑制におけるミクログリアの関与の検討 (急性ストレスはLH分泌を抑制することが知られている。近年、急性ストレスにより中脳水道周囲灰白質等でミクログリアの形態変化が起こることが報告された(Sugama et al.,2009)。本実験では、ストレスによるLH分泌抑制時における、視床下部視索前野GnRHニューロン周囲でのミクログリアの形態および免疫組織化学的変化を観察し、LH放出抑制へのミクログリアの関与を検討する。)
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