研究課題
本年度は改良型GCaMP DNAコンストラクトの作製、ゼブラフィッシュ卵へのインジェクションを行い、生殖細胞へ遺伝子が導入されたファウンダ-フィッシュを複数得た。これらから次世代F1フィッシュを複数得て、各々の個体に関してサザンプロット解析を行いゲノム内の挿入断片の個数を解析した。そしてF1の中からGCaMPの発現量が最も多いものを選び出し、掛け合わせ(アウトクロス)をすることにより最終的に挿入断片が1個のみの系統を樹立することに成功した。次に、ゼブラフィッシュリソースセンターのGAL4系統のデータベースから脳特異的な系統を選び出し、リポーターフィッシュ(UAS : GFP)と掛け合わせることにより発現パターンを調べた。その中から特に脊髄運動神経細胞のサブセット(CaP細胞)特異的な系統を見出し、そのGAL4挿入部位の解析をインバースPCR法を用いて行った。その結果、挿入部位がPRDM14近傍に位置することが明らかとなった。このGAL4系統と前述の改良型GCaMPフィッシュを掛け合わせることにより、脊髄運動神経細胞のサブセットのみにCaプローブを導入し、胚発生期における自発運動の時期をカルシウムイメージングを行った。その結果、リズミカルな左右の胴体部の筋収縮に相関して、周期的なカルシウムシグナルが脊髄の左右運動神経細胞で認められた。また、このカルシウムシグナルは前後軸の後方に向かって伝播していることが明らかになった。これらの結果から、改良型GCaMPを用いて個体の運動を作り出す神経ネットワーク活動をイメージングすることにより、機能的神経回路と運動とを結び付けて議論できるようになった。
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Proceedings of the National Academy of Sciences, U.S.A
巻: 108(13) ページ: 5425-5430
Communicative & Integrative Biology
巻: 4(5)(in press)
http://kawakami.lab.nig.ac.jp/