研究課題
この研究課題は、哺乳類大脳皮質の基本回路を解明し、さらに種・領野特異的な特殊化の実体を解明することを目的とする。具体的には、6層ニューロンのサブタイプに焦点を当て、それらの形態、遺伝子発現、及び皮質内結合の共通性と違いを、マウスとマーモセットの各皮質領野で比較する。この研究提案の発端となったのは、ラットの6層に存在する視床投射ニューロンと、皮質投射ニューロンの2種類のサブタイプが、それぞれPCP4及びCCK遺伝子を特異的に発現しているという発見である。この情報を元に、これらのサブタイプの分布状態の違いをラットのさまざまな領野で比較した研究結果をまとめ、本年度論文として公表した (Watakabe et al. J Comp Neurol)。一方、本研究提案での中心目標であった、逆行性レンチウイルスベクターを使った投射タイプ特異的遺伝子導入法については、ニューロンの全体像を可視化する方法として、テトラサイクリン誘導システムに必要な二つの転写ユニットを搭載した新規ベクターを開発し、その有用性について論文で公表した (Watakabe et al. PLosOne)。また二つのベクターを使って、投射元と投射先の2点間をつなぐニューロンを可視化するTET2重感染法(TEDI)については、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)1型を使うことで、より高効率な遺伝子導入ができるようになった。また発現する蛍光タンパク質に細胞内局在タグをつけることで、比較的染色効率が悪い軸索突起、及びブートンをより強く染色できるようになってきた。TEDIに関しては、現在論文公表のためのデータ取得実験を継続して行っている。チャンネルロドプシンを使った新しい機能結合解析法については、遺伝子導入系の確立が予定より遅れたために、着手することができなかったが、これまでの研究成果を活かした実験を今後行う。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Comp Neurol
巻: 520 ページ: 3553-73
doi: 10.1002/cne.23160.
PLoS One. 2012
巻: 7 ページ: e46157
doi: 10.1371/journal.pone.0046157.
http://www.nibb.ac.jp/pressroom/news/2012/10/121006.html