研究課題/領域番号 |
22500304
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
佐藤 泰司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 助教 (10505267)
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研究分担者 |
足立 健 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部・医学科専門課程, 准教授 (50231931)
遠藤 省吾 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 研究部長 (60192514)
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キーワード | ERK / 神経 / 細胞内情報伝達 / 神経幹細胞 / 分化・増殖 |
研究概要 |
細胞内情報伝達経路の一つであるERK経路は、神経・精神疾患との関連が従前より示唆されているが、そのメカニズムは未だに解明されていない。神経細胞における細胞内シグナル伝達系で働く分子は細胞機能に欠くことのできないものであり、そのわずかな異常は各種神経・精神疾患の原因に結びつく。当該年度は細胞内シグナル伝達の要であるERK2に特に着目し、遺伝子改変マウスを用いて神経系におけるERK2の役割を解析した。その結果、ERK2が中枢神経系において欠損したマウス(ERK2コンディショナルノックアウトマウス)では神経の発達過程において神経分化に多少の遅延はあるものの、神経細胞の数に異常は無かった。しかしながら、ERK2のアイソフォームであるERK1を同時に欠損させたマウス(ERK1/2ダブルノックアウトマウス)では、神経細胞の数が顕著に減少し、生後1日目以内に死亡することが判った。神経細胞が減少する直接の原因を追究するため神経分化・増殖マーカーを用いて形態学的解析を行ったところ、ERK1/2ダブルノックアウトマウスでは神経幹細胞の分化増殖に大きな異常があることが判った。これらの結果は、神経細胞の正常な分化・増殖のためにはERK1とERK2の総量がある程度必要であり、ERK2の欠損のみではERK1が補償的に働く制御機構が存在する事が示唆された。これらの結果についてはJournal of Neuroscience(2011)に発表した。また、ERK2コンディショナルノックアウトマウスでは記憶・学習行動などに顕著な異常があることが行動学的実験により解ったので、さらに解析を行い学術雑誌に発表する予定である。
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