研究課題/領域番号 |
22500308
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
安原 治 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (80239772)
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研究分担者 |
松田 和郎 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80444446)
松尾 明典 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助教 (20324585)
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キーワード | アセチルコリン / 神経回路網 / 神経トレース / 内側中隔 / 海馬 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)緑色蛍光タンパク質GFPと膜移行タンパク質ペプチドを組み込んだウイルスベクターを内側中隔核に微量注入してコリン作動性ニューロンの単一細胞描出を行い、その投射様式を解析すること、及び(2)コリン傷害モデル動物を用いて、同様の解析を行い、コリン神経変性の過程を解析することである。この目的達成のために本年度は、昨年度に引き続き、基礎研究を行い、若干の知見を得た。 1)前年度に引き続き、ラットの内側中隔核へウイルスベクターを注入し、アセチルコリン作動性ニューロンの単一神経細胞描出を試みた。アセチルコリン作動性ニューロンのマーカーであるコリンアセチル基転移酵素ChATに対する免疫組織化学法を用いて、内側中隔核アセチルコリン細胞とウイルスベクターの同時検出を行い、単一ニューロンの描写が可能なラットを選択した。投与量、投与後の生存期間など、至適条件の決定を行った。単一ニューロンの描写が可能であったラットの個体数を増やしながら、解析可能な個体について、連続切片を作成し解析を行っているところである。 2)認知障害を呈するコリン傷害モデル動物は、アルツハイマー病のモデルとして有用である。コリン傷害モデル動物におけるコリン神経変性過程の解析に平行して、コリンアセチル基転移酵素ChATを過剰発現させたヒト神経幹細胞をコリン傷害モデル動物の海馬や髄腔内に移植した。これらの動物では認知障害の改善が認められた。本申請研究の基礎データとして報告した(Park D,Matsuo A,et al.,2012)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
単一ニューロン描出のための条件設定を行ったが、同じ注入条件を用いても、単一ニューロン感染に成功する確率が低く、解析可能な個体数の確保に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
単一コリン作動性ニューロンの解析に適したラットの個体数を増やし、解析を進める。また、前年度の解析で、注入後の生存期間を長くすると、コリン細胞死が起こることが判明している。したがって、生存期間の長さを変化させて、コリン神経の変性過程を追究する。また、これに平行して、前年度に作成したコリン傷害モデルラットを用いて、ウイルスベクターの注入を進める。
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