研究概要 |
1.[目的]マウス網膜の連続切片電顕写真からすべての型の双極細胞と狭い受容野をもつ型のアマクリン細胞の分類とシナプス結合に関する知見を集大成し、それらを公表する。 [成果] 1個のフォトンを吸収した杆体が神経節細胞にまで雑音を避けて信頼性良く伝える経路について3個のAII型アマクリン細胞を介するすべてのシナプス部位を解明した。「マウス網膜の杆体視細胞から杆体双極細胞を介するAII型アマクリン細胞への微小神経路におけるシナプス結合部位の機能的分布」と題する論文にまとめてJ. Comp. Neurol.に投稿したところ2013年5月に出版に向けて受理された。別に、杆体と錐体のリボンシナプス形成がmGluR6受容体の活動性に依存して調節されることを解明したので、現在、投稿準備中である。 2.[目的]サル網膜の中心窩と周辺野の2シリーズの連続切片電顕写真を追加撮影によって完成させ,錐体細胞,杆体細胞のマップ作りから始めて,双極細胞,アマクリン細胞,神経節細胞の分類とシナプス結合を解析する。 [成果] サル網膜において杆体視細胞から直接に化学シナプスで杆体信号の入力を受けるOFF錐体双極細胞の存在を発見した。従来DB2型に分類されていたOFF錐体双極細胞がさらにa型とb型に細分されたので、それぞれ3個ずつ立体再構築したところ、a型が錐体と並んで杆体からも入力を受けることが証明された。この神経路が霊長類にも存在するか否かはヒトの心理物理学的データを説明する上で重要であり、長年の課題であったが、それに答えるものである。本結果は2013年京都で開催される第36回日本神経科学大会にて報告する。 3.[目的]コンピューター・グラフィックスのツールを整備する。 [成果] Adobe CS2からCS6 (Photoshop,Illustrator, …)への更新によって作業の効率化を図った。
|