研究概要 |
αシヌクレイン(αS)陽性突起の染色性は多様であることから,凝集度の低い早期病変があることを見いだし,"Pale neurites"と呼ぶ事を初めて提唱した.この超微形態像を明らかにするため,三次元蛍光像と超微形態を対応させる3D-oriented immunoelectron microscopyを開発して,さまざまな対象を観察中である.またαSは軸索分岐部に好んで沈着し,軸索末端から細胞体へ向かって伸展することを定量的にあきらかにした.この軸索末端の病変はパーキンソン病の心臓交感神経脱落に先行し,その後MIBG心筋シンチグラフィーの取り込み低下として臨床診断に有効であることを示してきたが,同様にレヴィー小体が沈着するレヴィー小体型認知症でも心筋シンチグラフィーの取り込み低下と心臓交感神経脱落の両者がおこり,アルツハイマー病との鑑別に利用できることを剖検例で初めて明らかにした(European Neurology 2010:64:129-133).パーキンソン症候群を起こす進行性核上性麻痺(PSP)脳に沈着するタウは従来4リピートタウと考えられてきたが,3リピートタウ特異的抗体を用いた染色法に改善を加え,これまで問題となっていた非特異的染色を除去することに成功した.PSP脳幹では,4リピートタウに加えて,3リピートタウの沈着が有る点,PSP大脳皮質とは異なることをこの新たな手法を用いて初めて確立した(Brain Pathol 2011:21:180-188)
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