研究概要 |
我々は、骨制御分子であるRunx2が生理条件下で神経細胞に高発現し、ストレス下ではアストロサイトで発現が誘導される事実を見出している。本研究課題では、中枢神経系に発現するRunx2に注目し、その役割を「生理学的」および「病態生理学的」な2つの側面から明らかにすることを目的とする。当該年度では、主に、Runx2 conditional欠損マウスの作製・解析を実施した。Runx2のRunt domainを有するexon 4の両端にloxP配列を有するマウス(Runx2floxマウス)を作製した。同マウスの有用性を判断する目的で、まずは同マウスと骨芽細胞特異的Creマウス(Col1-Creマウス)や、軟骨細胞特異的Creマウス(Col2-Creマウス)とを交配し、骨芽細胞特異的Runx2欠損マウス(Col1-Cre;Runx2floxマウス)と、軟骨細胞特異的Runx2欠損マウス(Col2-Cre;Runx2floxマウス)を作製した。その結果、Col1-Cre;Runx2floxマウスでは著明な表現系は認められなかったが、Col2-Cre;Runx2floxマウスにおいて、内軟骨性骨化の障害が確認された(Takarada et al, J Bone Miner Res, 2013)。本研究成果により、我々の作製したマウスの有効性・有用性が確認されたので、現在は神経細胞あるいはアストロサイト特異的Creマウスとを交配し、Runx2の脳機能に与える影響を個体レベルで解析しているところである。
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