1.ヒト末梢血におけるMCHの動態 本研究はMCH1R特異的阻害剤、TPI1361-17の末梢投与による摂食抑制作用機序を解明することである。これは即ちMCH系が末梢臓器において摂食行動を調節するという仮説を証明することに他ならない。MCHがホルモンとして遠隔の臓器を制御することにより摂食を調節しているならば、栄養状態に応じた濃度変化を示す可能性がある。これまで人末梢血中のMCH濃度については、BMIと正の相関があるという報告があるが、絶食→摂食など栄養状態の変動との動的な関係については報告が無い。そこで本研究では健常者において経口糖負荷試験を行い、腸管から栄養を摂取した際のMCHの濃度をラジオイムノアッセイで測定すると同時に血糖値及びインスリン値を測定した。MCHは空腹時に最も高値であり、30分後に有意に減少した。60分で更に減少し、180分後も元に戻らなかった。この現象はインスリンの増加分と負の相関を示した。このことから、MCHは末梢において動的に経口摂取により分泌調節を受けることが明らかとなった。 2.TPI1361-14の合成 H.22年度に行なう筈であったが、原材料費の高騰によりオランダNigmagen大の有機合成受託で試験合成を依頼、しかし数ヶ月後、技術的に合成できないとの返事があり、アプロサイエンス社(徳島県鳴門市)に受託、500mg超の化合物がH.24.1月に納品された。
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