研究課題/領域番号 |
22500331
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
長崎 弘 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30420384)
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研究分担者 |
濱田 洋司 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (20293706)
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キーワード | 神経科学 / メラニン凝集ホルモン |
研究概要 |
本研究の目的は、強力な摂食抑制作用を有するMCH1R特異的阻害剤、TPI1361-17の末梢臓器における作用点を解明することである。これまでの本課題において、末梢でのエネルギー代謝とMCHの相関を検討するため、ヒトの経口糖負荷試験におけるMCH濃度の動態を調べ、末梢においてMCHの濃度が摂食により有為に低下することを明らかにした。これはMCHが中枢だけでなく、末梢においてもエネルギー代謝調節に関与することを示す有力な証拠である。TPI1361-17は市販されていないため、アプロサイエンス社に受託合成を依頼し、高純度品500mgを入手することができた。この化合物はMCH1Rを発現するHEK293T細胞アッセイにおいてMCHによる細胞内カルシウム濃度上昇を阻害した。阻害活性は従来品と同等であり、生物活性のある化合物であることを確認した。受託合成で難渋した為、やや研究が遅れているが、残りの期間で内臓からの情報を中枢に伝える迷走神経求心路はMCHの末梢の作用点である可能性が高いため、実験動物において両側迷走神経遮断術等の手法によりMCH系の摂食行動調節における迷走神経の役割を検討するとともに、MCHが作用する臓器を特定することも目的の一つである。また、単離膵島においてTPI1361-17がインスリン分泌に及ぼす影響を調べる。さらに腸管においてMCHノックァウト動物は小腸の炎症が起こりにくいことが知られており、TPIの炎症成長疾患に対する効果も検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MCH1R阻害剤の受託合成が予想外に時間がかかり、H23年度末になってようやく入手できた。計画の前半であるヒトの循環血液中MCH動態は解明が終わったが、阻害剤を使った動物実験はこれから始まる所である。
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今後の研究の推進方策 |
残りの期間で内臓からの情報を中枢に伝える迷走神経求心路はMCHの末梢の作用点である可能性が高いため、実験動物において両側迷走神経遮断術等の手法によりMCH系の摂食行動調節における迷走神経の役割を検討するとともに、MCHが作用する臓器を特定することも目的の一つである。また、単離膵島においてTPI1361-17がインスリン分泌に及ぼす影響を調べる。さらに腸管においてMCHノックアウト動物は小腸の炎症が起こりにくいことが知られており、TPIの炎症成長疾患に対する効果も検討したい。
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