研究課題/領域番号 |
22500338
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
藤原 智徳 杏林大学, 医学部, 准教授 (90255399)
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キーワード | 開口放出 / syntaxin / 遺伝子組み換えマウス / シナプス |
研究概要 |
開口放出関連蛋白質として知られるシンタキシン(STX)のうち、神経細胞に多く発現するSTX1AとSTX1Bは従来同一の機能を持つとされてきた。しかし、遺伝子欠損マウスの表現型の解析から、生体内での機能に差があることが明らかとなり、本研究はその分子機構を明らかにするために行っている。 (1)Munc18との相互作用について STXと結合することがすでに知られている蛋白質の中で、Munc18の量がSTX1B欠損マウスで減少していた。そこで、Munc18を強制発現させたCHO細胞、COS細胞に、STX1AまたはSTX1Bを共発現させた場合のMunc18蛋白質の安定性について検討した。その結果、Munc18の細胞内での安定性に対する効果はSTX1AとSTX1Bで差が見られなかった。 (2)Yeast Two Hybridを用いた解析 STX1AおよびSTX1Bと結合する蛋白質に違いがないか検討するためYeast Two Hybridを用いた解析を行った。その結果、これまで結合することが知られていなかった分子が同定された。現在、in vitroの実験でSTX1AおよびSTX1Bとの結合性について解析を行っている。 (3)新規組み換えマウスの作成と解析 STX1B欠損マウスが出生直後に致死となるため、個体を用いた解析が困難である。そこで外来遺伝子としてSTX1Bを発現する遺伝子組み換えマウスの作出を試みた。Tet-systemによる発現制御機構を利用した組み換えマウスを作成したが、これまでのところ計画どおりに遺伝子発現誘導できるマウスのラインは確立できていない。現在同様の遺伝子組み換えマウスの作成のやり直しを行うと同時に、コンディショナルノックアウトの作成を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
In vivoにおけるSTX1AとSTX1Bの違いを明確にすることができた。一方で、in vitroの解析は行なったものの予想されたような結果は得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞を用いた解析において、当初予想していた生化学的解析の結果が得られていない。これは株化細胞を用いたため、神経細胞内に発現する因子が欠如しているためかもしれない。そこで、組換えマウスを用いてSTX1AあるいはSTX1Bを欠損した神経細胞を用いて解析する。 新規の組換えマウスの作成は当初の計画より早く完成したものの、目的にかなうものが得られていない。そこで、コンディショナルノックアウトの作成も計画する。
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