開口放出を制御するシンタキシン(STX)のうち、神経細胞に発現するSTX1AとSTX1Bの生体内での機能差があることを見出し、その機能差が生じる分子機構を解明するため、生化学的、薬理学的解析を行なった。 STXに結合することが知られているMunc18との相互作用が違いを検討するため、組換え蛋白質を用いた結合実験を行なってきたがSTX1AとSTX1Bで顕著な違いは見られなかった。しかしながら、脳抽出液を用いた免疫沈降法による解析を行なったところ、Munc18に対する親和性がSTX1AとSTX1Bで異なる可能性が示唆された。そこで生体内でのSTX1AおよびSTX1BとMunc18の相互作用について詳細に解析するため、新規に作成したtet-systemにより外来遺伝子の発現のon/offを制御できる遺伝子改変マウスを用いた解析を計画した。しかしながら、得られたマウスは外来遺伝子の発現量が低く、本研究目的には適していなかった。そのため、計画を変更しCreによるコンディショナルノックアウトマウスの作成を再度計画し、現在作成中である。またSTX1AとSTX1Bの違いに関与する結合蛋白質を同定するために、Yeast Two-Hybrid法によるスクリーニングを行なった。その結果いくつかの候補遺伝子を同定し、STX1AとSTX1Bで蛋白質間相互作用に違いがあるか解析を行なっている。
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