研究課題/領域番号 |
22500353
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
安藤 恵子 埼玉大学, 総合研究機構脳科学融合研究センター, 特任准教授 (40221741)
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研究分担者 |
中井 淳一 埼玉大学, 総合研究機構脳科学融合研究センター, 教授 (80237198)
大倉 正道 埼玉大学, 総合研究機構脳科学融合研究センター, 准教授 (70369172)
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キーワード | てんかん / 線虫 / Sec1/Munc18 / シナプス / イメージング |
研究概要 |
Munc18はシナプスにおける神経伝達物質放出を制御する重要な因子である。近年、難治性てんかん「大田原症候群」患者のMunc18遺伝子に変異が同定されたが、てんかん発症との関連はよくわかっていない。本研究では、分子-回路-行動レベルの解析を統合的に行なうことが容易な線虫を用いて、Munc18変異を導入した疾患モデルを作成し、行動薬理学的解析および神経筋回路のイメージング解析により興奮性・抑制性シナプスにおける作用機構を明らかにするとともに、Munc18異常によるてんかん発症の分子機構の解明を目指している。 平成23年度は研究実施計画に基づき以下の実験を行なった。 (1)ヒトMunc18で同定された変異を線虫unc-18ゲノムクローンに導入した線虫トランスジェニック系統を作成した。これらの株をunc-18ヌル型変異体と交配し、てんかんモデルの遺伝子改変動物を確立した。 (2)アセチルコリンエステラーゼ阻害剤およびGABA受容体の作用を遮断する痙攣誘発剤に対する遺伝子改変動物の行動薬理学的解析を行なった。これらの薬剤に対する感受性を定量的に解析した結果、コリン作働性およびGABA作働性ニューロンにおける伝達物質分泌がいずれも阻害されている可能性が示唆された。 (3)変異による神経機能異常をより詳細に解析するため、蛍光カルシウムセンサーを発現する遺伝子改変動物を作成し、筋神経活動を光学的手法で定量的に測定する系を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大田原症候群の患者で同定されたMunc18-1の4つのミスセンス変異(V84D,C180Y,M443R,G544D)を導入した遺伝子組み換え動物を作成し、行動および薬理学的解析が行なわれており、当初計画通り、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光カルシウムセンサーを利用した光学的測定法で定量的に筋神経活動を測定する系を確立し、作成した疾患モデル動物に応用することにより、変異と神経機能異常の関連を明らかにする。
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