リアノジン受容体RyRは、心筋や骨格筋の興奮収縮連関の一過程として収縮に必須なCa^<2+>を小胞体から細胞質に遊離させる。RyR分子は、数多くのリガンド結合部位即ち機能サブドメイン群からなる全チャネル最大の細胞質ドメインをもつ。各サブドメインは、RyRチャネル活性を修飾することにより、筋肉細胞のCa^<2+>遊離を巧妙に調節する重要な機能単位である。然しながら、RyRのサブ機能ドメインに関する構造機能連関研究は立ち遅れている。本研究では、機能サブドメインの特定と構造機能連関の解明を目指す。22年度では、心筋型RyRを主な実験対象にして、RyR分子の細胞質内ドメイン内のリガンド結合部位のうちCa^<2+>結合部位に焦点を当てて調べた。RyRの全長cDNAの塩基配列の中からCa^<2+>を結合しうる領域群を選び、点変異コンストラクトを系統的に作成した。更に、作成された変異コンストラクトごとに、チャネル機能解析を加えた。その結果、RyR2分子においてCa^<2+>が結合する可能性がかなり高いアミノ酸責任領域をいくつか見出した。残念ながら、L型Ca^<2+>チャネルからの流入Ca^<2+>の結合部位すなわち心筋の興奮収縮連関の要であるCa^<2+>誘発性Ca^<2+>遊離=CICR機構を担うCa^<2+>結合部位がそのうちの何れであるかは、現在まだ不明である。23年度以降も続けて、CICRを担うCa^<2+>結合部位の特定作業を行い、より詳細なCa^<2+>感受性の分子機構を明らかにしたい。
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