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2010 年度 実績報告書

グリオトランスミッターの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 22500367
研究機関群馬大学

研究代表者

五味 浩司  群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (90293240)

キーワードアストロサイト / トランスジェニックマウス / 細胞内カルシウム / トリパータイトシナプス / グリオトランスミッター
研究概要

本研究の目的は、従来、脳の支持細胞として位置づけられてきたアストロサイトの生体脳における役割の一端を明らかにするものである。そこでアストロサイトに由来する物質分泌すなわちグリオトランスミッターの放出が神経シナプスの形態構築や生理機能にどのような影響を及ぼすのかについて、アストロサイトで特異的に遺伝子発現を誘導するモデルマウスを用いて解析を行なった。本年度は理化学研究所との共同研究によって、いわゆる「Tet-Off」実験系を利用したアストロサイト特異的なグリオトランスミッターの開口放出を誘導しうるのに必要なカルシウム濃度の上昇をモデュレートするトランスジェニックマウス系統(IP3-sponge Tg)において形態学的に解析を行なった。このTgマウス系統のアストロサイトにおいてどの程度の精度と割合で細胞内カルシウム濃度が変化させうるのかについて、導入遺伝子の発現指標となるLacZレポーターと内在性アストロサイトマーカータンパク質であるS100bとの共染色法によって定量的に分析したところ、大脳皮質体性感覚野、海馬(CA1およびDG)および扁桃体などにおいてほぼ100%(一部、海馬DGでは92%)の細胞で正確にその効果を発現しうることが明らかとなった。また、海馬CA1領域において、アストロサイトの足突起がシナプスを取り囲む構造であるトリパータイトシナプスの微細構造を電顕レベルでその接するパターンから4つのタイプに分類して解析した結果、アストロサイト内のカルシウム動態を変化させたTgマウスでは、足突起と接しないタイプのシナプスの形成頻度が有為に亢進していた。以上のことにより、アストロサイトで特異的に細胞内カルシウム動態を変化させることによって微細構造レベルでの異常が誘起され、生理学的なグリオトランスミッターの開口放出過程にも何らかの障害がもたらされている可能性が推測される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Involvement of cyclin-dependent kinase-like 2 in cognitive function required for contextual and spatial learning in mice2010

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Gomi
    • 雑誌名

      Frontiers in Behavioral Neuroscience

      巻: VOL.4 ページ: 1-14

    • 査読あり
  • [学会発表] Astrocytic calcium signals are required for the functional integrity of tripartite synapses2010

    • 著者名/発表者名
      Mika Tanaka
    • 学会等名
      Society for Neuroscience
    • 発表場所
      サンディアゴ(米国)
    • 年月日
      2010-11-13

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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