研究概要 |
平成22年度は、等尺性筋収縮運動を行っている際に、聴覚刺激(4実験課題)を無視する条件および認知する条件下で実験を行った。しかしながら、10月からの採択であったために、3実験課題は遂行することが出来たが、「ヒトの音声を被験者の両耳に与えて,これを無視する条件,およびカウントする条件を行なって脳-筋コヒーレンスの変化を調べる」という実験が出来なかった。 このため平成23年度は、まず上記の音声刺激実験を行った。結果として、約40dBのヒトの音声(「ば」、「が」)を被験者に与え、これを無視する条件および注目する条件下でのコヒーレンス値を求めたが、いずれの条件下でも音声刺激を与えていないコントロール時のコヒーレンス値と比較して変化が見られなかった。 同様に等尺性筋収縮運動を行っている際に体性感覚刺激を無視する条件およびカウントする条件下で実験を行った。 (1)等尺性筋収縮を行っている被験者の手掌と同側および対側の中指に電極を置いて刺激周波数1HZ、パルス幅0.1msec、刺激強度を閾値の3倍に設定して電気刺激を与え,この刺激を無視する条件,カウントする条件を行なわせた。その結果、無視する条件下のコヒーレンス値は刺激を与えていないコントロール時のコヒーレンス値と比較して有意差は見られなかった。一方、カウントする条件下のコヒーレンス値はコントロールと比較して有意に増大していた。このことから、脳内の体性感覚関連領域の活性化により親指と示指を支配している一次運動野のネットワーク結合に変化が起こることが示唆された。 平成24年度は、等尺性筋収縮を行っている被験者の手掌と同側または対側の親指および示指に電極を置いて実験を行っていきたい。
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