研究課題
最終年度である今年度は、昨年度までに完成させた16光源16検出器を備える多チャンネル高時間分解能fNIRS装置を本格稼働させ、44チャンネル, 15mm×15mm間隔の高密度で、神経活動に伴う脳血流変化を計測した。fMRI計測を用いて予め大脳皮質運動野の神経賦活部位を特定した複数の被験者に対して、手指運動課題遂行時の計測を行い、従来手法で血流変化のデータを算出した。このデータに対して我々が開発した血流動態分離法を用いることにより脳機能信号成分と全身性信号成分に分離した。従来法で得られたデータでは、運動手指の左右による差が見られず、両側大脳半球の運動野を含む広い範囲で大きな信号変動が生じていた。これは、運動野の神経活動に由来しない全身性信号成分の混在を強く示唆している。このデータを血流動態分離法で分離したところ、脳機能信号成分は運動手指の対側運動野で顕著に生じた。また、その信号成分が生じる部位は、予め特定した手指運動によってfMRI-BOLD信号が生じる部位と極めて良好な一致を示した。fMRI-BOLD信号と神経賦活との相関は広く知られており、この一致は、fNIRSの計測信頼性を従来よりも飛躍的に向上できたことを意味している。以上は、2013年7月IEEE関連部会の国際会議での発表が採択されている。こうした高密度計測では、通常よりも多数のプローブ導入が必要である。このため、各プローブの装着不良の検出/改善に時間がかかり、これが計測の実用上大きな困難をもたらすことが、上記の実験実施から分かってきた。我々は、装着不良時のデータと正常データの挙動の違いを詳細に解析し、装着不良の2つの側面、即ち、①密着不良と②固定不良を自動的に識別するアルゴリズムを開発した。これにより、プローブ装着不良の検出/改善に要する時間を飛躍的に短縮できる。この結果は特許出願を済ませ、関連学術誌に採録された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of biomedical optics
巻: 18 ページ: art. No. 47003
10.1117/1.JBO.18.4.047003
Proceedings of 35th Annual International IEEE EMBS Conference
巻: CD-ROM ページ: 未定
認知神経科学
巻: 未定 ページ: 印刷中
PLOS ONE
巻: 7-11 ページ: e50271
DOI:10.1371/journal.pone.0050271
第51回日本生体医工学会大会論文集
巻: CD-ROM
脳科学とリハビリテーション
巻: 12 ページ: 13-18
第16回 酸素ダイナミクス研究会抄録集
ページ: 29-32
http://unit.aist.go.jp/htri/ht-bf-neuro/