研究概要 |
センダイウイルスはマウスに肺炎を起こす病原体で、実験用マウスコロニーでは最も感染事故の多い病原体の一つである。従来より、マウス系統により感染抵抗性/感受性が異なることが知られていたが、我々は抵抗性及び感受性系統の代表格であるC57BL/6(B6)及びDBA/2(D2)系統を用い、両系統の交配により作製したバッククロス個体群を用いたquantitative trait locus(QTL)解析により、3つのQTLsの相互作用により両系統の抵抗性及び感受性の形質を説明できることを明らかにした(A. Y. Simon et al. Multigenic control of resistance to Sendai virus infection in mice. Infect. Genet. EvoL, 9, 1253-1259, 2009)。本研究はこれらQTLs中に存在する責任遺伝子を同定することを目的としている。 責任遺伝子同定のためには、まずB6及びD2マウス間で、これら領域(QTLs)を互いに単独に入れ替えたコンジェニックマウスを作製し、これらの領域(QTLs)の保有の仕方で抵抗性/感受性の表現型を再現できるかどうかを確認する必要がある。平成23年度は平成22年度に続き、スピードコンジェニック法によりコンジェニックマウスの作製を行い、それぞれの系統由来のQTL領域がそれぞれのカウンターパートの遺伝学的背景に導入されたコンジェニックマウス計6系統を作出することができた。
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