研究概要 |
O-結合型糖鎖の一つであるムチン型糖鎖の生体における機能解明のために、ムチン型糖鎖のコア1構造を合成するコア1構造合成酵素遺伝子(C1galt)のコンディショナルノックアウトマウスを作製した。コンベンショナルなC1galtノックアウトマウスは、胎生中期に血管形成異常により死亡してしまうため、様々な組織特異的なプロモーターにより発現制御されるCreリコンビナーゼ発現マウスと交配して、コンディショナルノックアウトマウスを作製した。まず、成獣してから骨髄幹細胞においてCreリコンビナーゼの誘導発現可能なMx1-Creマウスと交配して、C1galt^<flox/->Mx1-Creマウスを作製した。polyI・polyCを腹腔内へ投与してから1月後に血球算定をおこない、末梢血、骨髄、胸腺、脾臓における白血球分布をフローサイトメトリーにて解析した。血球算定では、正常な白血球数を示した。胸腺のT細胞の分化については、CD4,CD8にて解析した結果、異常は見られなかった。B細髄マーカーであるB220による染色は、ノックアウトマウスの末梢血、脾臓においてほとんど陽性細胞が見られなかった。しかしながら、CD22.2などの他のB細胞マーカーでは陽性細胞数が減少いるものの、全くなくなるわけではないので、B220が糖鎖構造を認識している可能性が示唆された。同様に赤血球や赤血球前駆細胞に発現するTer^-119抗原の発現がノックアウトマウスでほとんど消失しているが、血球算定で赤血球数は正常なので、Ter^-119抗原も糖鎖抗原であることが考えられた。現在、詳細なB細胞分化の確認と免疫グロブリン産生能などの測定をおこなっている。
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