研究概要 |
本研究では、Cre/loxPシステムを利用したマウスでの時期・組織特異的遺伝子改変技術に加え、新規に開発された部位特異的組換え酵素とその標的配列であるDre/roxシステム、組換え効率の向上化が進められているFLP/FRTシステムをさらに組み合わせることで、マウス生体での高度な遺伝子改変を行う技術基盤の確立を目的とする。 平成22年度においては、以下の実験を実施した。1)Rosa26遺伝子へのノックイン、あるいはRosa26遺伝子座へのCAGプロモーター支配下のトランスジーンの導入と比較して、血球、内皮細胞においてより強力な発現が認められ、その有用性が期待される、既存の導入遺伝子組込み遺伝子座、CGH4遺伝子座(Ichise et al., 2010)の同定、クローニングを完了した。2)相同組換えのネガティブセレクションマーカーであるDT-A発現ユニットの改良を行った。3)CGH4遺伝子座と改良型DT-Aカセットを利用して、Creインディケーターとなるレポーターコンストラクトの導入を行い、高効率で相同組換え体が得られることを確認した。また、当該ES細胞を用いて新規のCreインディケーターマウスの作出を開始した。4)Dre/roxおよびFLP/FRT遺伝子組換えのインディケーターマウスの作成を目的として、前述のレポーターコンストラクトにおけるloxP-neoR-BGHpA-loxP領域をrox-neoR-BGHpA-roxあるいはFRT-neoR-BGHpA-FRTに置換したベクターを作成した。5)Dr.Stewart(Dresden,Germany)より供与を受けたDreを用いて、RU486誘導型Dre発現ベクターを構築した。6)斎藤博士(東大・医科研)より供与を受けたhFLPe発現ベクターを用いてマウスES細胞におけるFLP/FRT組換えの効率を検討し、Cre/loxP組換えに匹敵する高効率の組換えに利用できることを確認した。
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