研究課題
現在使用している凍結保存液には、ニワトリの卵黄が含まれている。卵黄は、家畜の精子凍結の際も凍結保存液にしばしば加えられているが、品質が安定しない、微生物汚染、海外へ輸送する場合には卵自体が検疫対象物となるなどの問題点を有している。そのため、卵黄を含まず、化学的に構成成分が明らかな新規の凍結保存液の開発が必要である。今年度の検討で、我々は凍結保存液に卵黄の代わりに大豆由来のレシチンを加えることで、凍結融解後の精子運動率について同等の成績が得られるという結果を得た。したがって、当初、本年度に予定していた凍結精子での輸送に関する検討を遅らせ、凍結保存液へのレシチンの添加が卵黄の代替となり得るかどうかについてさらに検討を進めた。まず、凍結保存液に添加するレシチンの至適濃度を決定した。現在、レシチンを添加した凍結保存溶液を用いて凍結した精子を用いて人工授精を実施し、妊娠率、産仔数等について評価中である。これまでの成績と比較して差がなければ、今後、レシチンを使用した凍結保存液に変更する。また、新規保存液の開発と平行して、従来の卵黄を含む凍結保存液を用いて、我々が保有する遺伝子改変ウサギ系統について凍結精子による系統保存の実施を進めてきが、本研究期間内に6系統すべてについて凍結精子の保存を実施することができた。我々が保存するこれらのウサギ系統については、ホームページ上にて公表を行っている(http://www.animal.med.saga-u.ac.jp/index.php?id=2)。本研究により、ヒト疾患モデルウサギの精子バンク確立のための基盤技術の整備と実際に凍結精子による系統保存の実施を進める事ができたと考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.animal.med.saga-u.ac.jp/index.php?id=2
http://www.animal.med.saga-u.ac.jp/index.php?id=13