研究課題
本研究は、ヒト免疫系モデル動物としての、非ヒト霊長類であるコモンマーモセットの有用性を評価するため、造血幹細胞の同定と重度免疫不全マウスへの免疫再構築を行うことを目的としている。本年度は、集大成の年として、マーモセット造血幹細胞のさらなる解析と論文作成を主として行った。その結果、マーモセットCD117陽性CD34陽性細胞からの顆粒球系、赤芽球系、リンパ球系それぞれへの分化をコロニーアッセイ及び重度免疫不全マウスであるNOGマウスへの異種移植により確認することができた。この結果より、マーモセット骨髄中に存在するCD117陽性CD34陽性細胞は、造血幹細胞を含むことが明らかとなった。ヒト造血幹細胞と同様にマーモセット造血幹細胞からもマスト細胞を含むミエロイド系の細胞が分化し、移植マウス脾臓での局在が観察された。また、リンパ球分化については、T細胞およびB細胞の分化が観察されたものの、ヒトと異なり、B細胞がT細胞に先行して優位に分化するという傾向は観察されなかった。本研究の結果の内、特にマスト細胞分化については、論文として纏め、Int. Immunol.に受理された。また、造血幹細胞同定については、日本ノートバイオロジー学会で発表の後、論文として纏め現在投稿中である。マーモセット造血幹細胞が同定され、免疫系再構築が可能になったことにより、今後、この系を用いた霊長類免疫担当細胞の分化研究が可能となると考えられる。今後は、本研究で確立した系を用いて、ヒト及び非ヒト霊長類の免疫系がどの程度類似しており、分化過程のどの部分は非ヒト霊長類でもヒトモデルとして用いることができるのかを正確に評価していくことが重要であると考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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