研究課題/領域番号 |
22500394
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
松浦 哲郎 摂南大学, 薬学部, 准教授 (20268494)
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研究分担者 |
吉木 淳 独立行政法人理化学研究所, 実験動物開発室, 室長 (40212310)
奈良間 功 摂南大学, 薬学部, 教授 (80268490)
尾崎 清和 摂南大学, 薬学部, 講師 (40268496)
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キーワード | 先天異常 / Coloboma / 動物モデル / 病理 |
研究概要 |
眼colobomaは虹彩・網膜・脈絡膜等の眼球構成組織を欠損するヒトの先天異常である。しかしながら、その実験動物モデルは少なく、その治療法や遺伝的な原因解析は現状ではほとんど進んでいない。我々が発見した眼colobomaを有する系統マウスはヒトの眼colobomaと形態的に似た病態象を示しているが、他の眼colobomaモデルには見られない劣性遺伝様式である。 1) 本年はまずRCSラットにおける眼colobomaの形態学的特徴に注目し、その成果を発表した。RCSラットには小眼球が5%の頻度で出現することが報告されている。我々は小眼球が眼colobomaの一つの指標であることに注目し、その臨床的な変化と眼球内部の異常について精査した。その結果、小眼球の瞳孔にはすべて下方変異が認められ、その臨床的異常は6時方向の虹彩の低形成に起因していることが明らかとなった。さらに眼球内部ではヒトとよく似た毛様体上皮の異所形成、網膜・脈絡膜欠損が検出され、明らかにRCSラットにヒトの眼colobomaと同一の病変が再現されていることが示された。 2) 小眼球を伴わない、正常な大きさの眼球を有するFLSマウスに関しては表現型の遺伝と遺伝背景によるcoloboma発生の差の検討を実施した。FLSとBALB/c,CBAおよびMSMマウス系統を交配させF1およびN2個体を得た後、表現型の遺伝様式を調べ、N2個体に関しては、原因遺伝子の連鎖解析を目的として300以上の十分数の個体を作出した。各個体を麻酔後、放血致死させ眼球を浸漬固定させると共に、尾、腎臓および脾臓を液体窒素で凍結後、-80度の冷凍庫で一時保管し、すべての個体について眼球内部を手術用顕微鏡・実体顕微鏡を用いて精査後、colobomaの判定と眼球の大きさ(Width×Height×Depth)と虹彩長を実体鏡で形態計測し、眼coloboma個体の表現型を記録した。現在、各系統における眼colobomaの出現率、coloboma個体と正常個体の統計的比較を実施し、統計的解析を実施している段階である。
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