研究概要 |
舌下微小循環を非侵襲的に撮影する方法としてSide stream Dark Field(SDF)撮影法がある.SDF撮影法では血管構造、血流変化、赤血球の流れる様子を観察できる.我々は微小循環画像の高度な解析から臨床的により有用な情報を獲得することを目指し、まず独自にこの装置の追試製作を行った.さらに酸素飽和度算出のために各種の技術開発を進めている/23年度の成果のうち,特に重要なものを以下に記す. ファントム実験:寒天に空洞を設け,ここに血液を流し込んでファントムを作る方法をほぼ確立できた.一方,3色の発光が可能なLEDチップで光源部を試作し,3バンドカメラと組み合わせて9バンド撮影を可能とした.マイコン制御によるLEDの3色の発光と画像取り込みを同期して行うことが可能となった. 動物実験:小型化したLED光源とカメラのセットを用いてブタ小腸の血流を撮影した.並行して走る動脈と静脈と考えられる2本の血管の像を取得し,525nmを中心波長とする緑色LED光の像と,470nmを中心波長とする青色LED光の像から,画素値のヒストグラムに注目して動脈と静脈を区別できる可能性を確認した.さらにランバートベール則にもとづくイメージングのモデルを作成し,画素値から酸素飽和度を算出する手順を考案した.この精度評価を現在進めているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A撮影の安定化・操作性の向上については,ピント調節が可能なように機構を改良した.プレを低減する方法についてはなお検討中である. Bファントム実験については,寒天に空洞を作り,ここに血液を流し込んで作る方法をほぼ確立できた. C装置の設計・試作については,3色の発光が可能なLEDチップで光源部を試作し,3バンドカメラと組み合わせて9バンド撮影を可能とした.マイコン制御によるLEDの3色の発光と画像取り込みを同期して行うことが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
操作性の向上,画像データからの酸素総和度算出法の確立を中心に進める。前者については,外注も視野に入れ,ハードウェア的な改良を重ねていく,後者については,ファントム実験をベースにして安定的に酸素飽和度が得られるための条件の明確化を行う.これらの後に,生体(主としてブタ)を使ったデモ的な映像を生成する.
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