研究課題/領域番号 |
22500406
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
増本 一真 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50464136)
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研究分担者 |
加藤 文度 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (60204492)
長田 哲次 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60264058)
守本 祐司 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 准教授 (10449069)
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キーワード | 医用光・熱工学 / ナノ材料創製 |
研究概要 |
本研究では、がん組織特異的に集積する光増感剤として、Indocyanine green (ICG)の高分子ミセル化を図った、全く新しいナノドラッグデリバリー型製剤を開発し、高効率な光線力学療法・診断法の確立を目指している。 今年度は、両親媒性ポリデプシペプチド(親水部:ポリサルコシン,疎水部:ポリ乳酸)の自己組織化により形成される高分子ミセルの内核にインドシアニングリーン(ICG)を内包したICG内包高分子ミセル(ICGm)を用いて、皮下への癌細胞移植による担癌マウスモデルを作成し、腫瘍の診断が可能であるか否かを検討した。マウスの皮膚は0.5mm程度であり、近赤外線光(808nm)を照射することで、体外より腫瘍組織に集積するICGmのICG蛍光を検出することが可能であった。ICGm投与後48-72hにおいて、腫瘍部位が高いコントラストをもって描出され、周辺組織と明瞭に識別できた。他方、ICG単体では、腫瘍をイメージングすることはできなかった。本法によって皮膚下に存在する腫瘍細胞を非侵襲的に診断することが可能であることが示された。 他方、ICG-高分子ミセルを用いたイメージング技術の応用展開に先駆けて、ICGによる新しい診断方法を確立した。 口腔腫瘍病変の広がりをイメージ化する目的で歯肉がん患者の浅側頭動脈よりカテーテルを刺入しICGを動注したのち、腫瘍部位へのICG移行を近赤外蛍光カメラ(PDE,浜松ホトニクス社)で観察した。二症例検討したところ、口腔腫瘍の検知に関する従来法であるインジゴカルミン(IDCM)染色で陽性を示した部位にICG蛍光が観察され、さらにその周辺のIDCM陰性部位からもICG蛍光が検出された。このことからICG蛍光法は、ICDM染色法と比較し高感度であり、皮膚障害等の副作用の予見、対策へ有用であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ICGをカプセライズする高分子材料、構造を比較検討した。 結果、ICG-CaP型高分子ミセルより両親媒性ポリデプシペプチド(親水部:ポリサルコシン,疎水部:ポリ乳酸)の自己組織化により形成される高分子ミセルの内核にインドシアニングリーン(ICG)を内包したICG内包高分子ミセルがより臨床上優れた特性を有することが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
上記以外のより有用と考えられる高分子ミセル材料・構造を設計・製造し、動物実験によりがん治療、診断における有効性を検討する。
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