研究概要 |
本研究の目的は,皮膚組織のマイクロメカニクス診断を実現課題とし,数マイクロの高分解能及び非侵襲診断能力を有する光干渉断層画像法(OCT)を多機能化し,組織内の歪み断層分布(OCSAシステム)と応力断層分布(OCSEシステム)を検出するマイクロ力学量断層検出システムと,含水量を断層検出する2C-OCMシステムのハイブリッド同時検出システムを構築することである.OCSAでは干渉信号スペックルの変形解析から歪み分布を,更に,OCSEでは偏光特性から光弾性解析を用いて応力分布を同時に断層計測する.2C-OCMでは、水分子の光吸収特性が異なる2波長帯OCTを用い,検出吸収係数から皮膚組織内の含水分布を断層計測する. そのため23年度では,皮膚組織の歪み断層分布を検出するOCSAシステムの構築のため,荷重負荷デバイス(吸引デバイス)とOCTシステムのコンバインを行った.また,歪み検出精度を上げるため,3次元歪み検出アルゴリズムとして,ボリューム変形を考慮したサブピクセル解析法を導入した.そして,構築した吸引OCSAシステムを皮膚のin vivo計測に適用し,吸引負荷による組織変形によって,真皮乳頭と表皮突起の界面付近において剪断歪みの発生が,非侵襲断層計測された.24年度には,この実験結果の検証を念頭に,真皮乳頭の位置を把握するために抹消血管網の可視化を実施する. 一方,偏光OCTと2波長帯OCT(2C-OCM)のハイブリッドシステムの構築では,計測の時間分解能を上げるため,ガルバノミラーを導入して光時間分解能化に着手した.更に,偏光OCTシステムによる応力検出の精度を上げるため,ストークスパラメータの導入を試み,ポリエチレン樹脂の引張り荷重付加に発生する干渉稿の画像解析に着手した.その結果,干渉稿の断層画像を用いた光弾性解析には,干渉稿画像解析アルゴリズムの再開発が必要であることが判明したため,最新の光弾性解析アルゴリズムの適用を24年度に行う計画を新たに考案した.2波長帯OCT(2C-OCM)では,実時間計測システムを完全構築することが24年度の課題である.このため,参照鏡側にもガルバノミラーを導入し,高速にスキャンするシステムを構築する.更に,生体組織の組織構造が変化する界面(各層と表皮との界面など)における,反射係数の変化が含水率計測に影響を与えるため,反射係数の空間変化を考慮した含水率検出アルゴリズムについて検討を行う.
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今後の研究の推進方策 |
偏光OCTと2波長帯OCT(2C-OCM)のハイブリッドシステムの構築では,計測の時間分解能を上げることが優先されるべきであることが判明し,早期に実時間計測システムの構築が必要である.このため,対物側と参照側にガルバノミラーを導入する必要が出てきた.24年度には,これに着手し,実時間計測システムの構築を遂行する.
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