研究課題/領域番号 |
22500410
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石原 務 日本大学, 工学部, 准教授 (70349554)
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キーワード | DDS / ナノ粒子 / C型肝炎 / リバビリン / ポリ乳酸 |
研究概要 |
C型肝炎治療を目標とし、抗ウイルス剤であるリバビリンを内在化したポリ乳酸ナノ粒子の開発をおこなった。我々は既に肝実質細胞特異的なリガンド分子であるアラビノガラクタンを表面に修飾し、かつリバビリンを鉄イオンを介し粒子内に内在化した新規のナノ粒子の調製に成功している。このナノ粒子からのリバビリンの放出挙動を解析したところ、リバビリンは初期バーストすることなく数週間にわたり少しずつ粒子から漏出し徐放出が達成できていることが明らかになった。蛍光物質であるローダミン123を修飾したポリ乳酸を合成し蛍光ラベルナノ粒子を調製した。肝実質細胞の細胞株であるHuh7細胞及びHepG2細胞との相互作用を解析したところ、粒子が細胞内へ顕著に取り込まれていることがわかった。また、細胞内のリバビリン量をHPLCにより定量したところ、この粒子を用いることで10倍程度取り込み量を増大できることがわかった。WSTアッセイにより毒性試験をおこなったところ、粒子濃度を極めて高くするとわずかな毒性が認められたものの顕著な毒性は観測されなかった。さらに、動物を用いた体内動態評価をするためそのアッセイ法の確立を試みた。大量のナノ粒子をマウスに投与し、採取した肝臓をホモジナイズ、有機溶媒による抽出操作、そしてカートリッジカラムによる粗精製後HPLCにより分析したところ、肝臓から有意な量のリバビリンが検出できた。よって、この検出法により肝臓中のリバビリンを定量可能であることが明らかになった。 以上のように申請書に記載した放出挙動解析および細胞との相互作用解析は完了した。また、体内動態については定量法を確立しその予備試験は終了しており本試験にのぞむ準備が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでの試験に関しては、順調に研究を進めることができた。in vivoでの試験においては、臓器に含有されるリバビリンの簡便な定量法を独自に確立する必要があり少し手間がかかってしまった。しかし、その方法も確立することに成功し予備試験まで終了しているので、おおむね順調に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
従来の研究計画通り、開発してきたリバビリン封入ナノ粒子の薬物動態および薬力学評価をおこなっていく。その結果から、新規DDS製剤としての有用性を評価する。
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