研究課題
C型肝炎治療を最終目標とし、アラビノガラクタンで表面修飾し抗ウイルス剤であるリバビリンを内在化したポリ乳酸ナノ粒子の開発をおこなってきた。本年度は、このリバビリン封入ナノ粒子の薬物動態および薬力学評価をおこないその有用性を評価した。蛍光ラベルしたナノ粒子をマウス尾静脈より投与し、2時間後肝臓の凍結切片を蛍光観察した。その結果、ナノ粒子が肝臓に集積していることがわかった。また、その蛍光は組織全体に一様に分布していたことから非実質細胞ではなく肝実質細胞に取り込まれたことが示唆された。さらに、肝臓中のリバビリン定量をおこなった。リバビリン単独投与では、投与後1時間後に投与全量の2割程度が肝臓で検出されたが、1日後には肝臓から消失した。一方、ナノ粒子では、投与後1時間後に5割が肝臓で検出され、その後少しずつ減少したが1週間後でも2割程度が肝臓に残留していた。よって、このナノ粒子は肝臓にリバビリンを集積できること、そして肝臓でリバビリンを徐放出していることがわかった。次に、このナノ粒子の薬理効果を検討した。ヒト肝実質細胞を移植したキメラマウスにヒトC型肝炎ウイルスを感染させることでC型肝炎モデル動物とした。PEG-インターフェロン(IFN)とリバビリン封入ナノ粒子の共投与、PEG-IFNとリバビリンの共投与、PEG-IFNの単独投与をおこない血清中のウイルスRNA量を定量した。その結果、IFNに加え、20分の1の量しかリバビリンを含有しないナノ粒子を投与した場合でも抗ウイルス効果が確認できた。しかし、今回の投与量では、インターフェロン単独でも強い抗ウイルス効果が認められ、リバビリン併用による増強効果が確認できなかった。よって、今回の試験からはナノ粒子の有効性が判断できないが、投与量を変えるなど試験条件を変えることで今後その有効性を判断していきたい。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Pharmacy and Pharmacology
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