研究課題
本年度は,昨年度の成果を踏まえて,歩行運動における上肢と下肢の協調運動制御モデルの構築と運動ゆらぎの発現メカニズムの解明を目指すことを目的として研究を行った.具体的な成果は次のようになる.随意的な上肢と下肢の筋運動を解析するため,モーションキャプチャシステムを用いて,人間の歩行運動を計測し,運動モードとアトラクタの構造解析から,上肢と下肢の筋シナジーについて考察した.歩行条件として,物理的な拘束条件を下肢に付加し,歩行速度などの歩行条件を様々に変化させた場合の歩行運動の発現モードを解析した.その結果,受動性を活用した遊脚の弾道軌道制御メカニズムと,支持脚の重心揺動を伴う受動的な屈伸を伴う倒立振子モードの定量的解明,および自然な歩行速度を中心に,運動モードの遷移現象が起こるメカニズムを突き止めた.これらの制御は身体の筋骨格系における膨大な自由度の協調的動作,すなわち筋シナジーにより達成される.この筋シナジーを構成する制御メカニズムについて,これらの実験結果から,人間の歩行運動における身体の運動制御メカニズムには,身体の持つゼロダイナミクスを含む力学系と,遊脚制御における弾道軌道制御に見られるようなゼロダイナミクスを巧みに利用する受動的な制御系,さらにそれらの協調および安定性を支配する受動性の調整を行う体幹の姿勢制御系から成るアーキテクチャを提案した.そして,この制御系モデルを用いて,数値計算を通してモデルの妥当性を確認することができた.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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WSH 2011 and IWNC 2012, PICT, Proceedings in Information and Communications Technology
巻: 6 ページ: pp.130-147
Introduction to Modern robotics
巻: 1 ページ: pp.39-53