研究課題/領域番号 |
22500417
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
古池 哲也 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (10360942)
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キーワード | 糖鎖 / 糖鎖クラスター / シクロデキストリン / 両親媒性 / センシング |
研究概要 |
糖鎖は、生体内における細胞認識の初期的段階に深く関与している生理活性物質である。糖鎖認識を左右する大きな要因として、生体膜上における適切な糖鎖密度が挙げられることから、これらの分子構造を生体外で的確に模倣することにより、生体内における生理活性糖鎖の機能の謎を解く手がかりとなるモデル分子集積体の構築を目標とする。 本研究では糖鎖クラスター素子開発の一環として、糖鎖をクラスター化させる土台部分としてrigid、かつsymmetryな構造を有している環状オリゴ糖シクロデキストリン(CD)に着目し、CD上に生理活性糖鎖、および長鎖脂肪酸が結合した糖鎖結合型両親媒性シクロデキストリン(両親媒性GlycoCD)の合成法の確立を行う。この両親媒性GlycoCDは、CDに十数本の長鎖脂質部分を有しているため、膜内における浸透性、および気密性に優れ、金薄膜上で得られた単分子膜は表面プラズモン共鳴(SPR)用センサーチップとして、そのまま用いることができるので、高感度な分子レベルでの糖・タンパク質問のセンシングが可能となる。 そこで本年度はバラエティに富んだ両親媒性GlycoCDの合成に関して検討を行った。3種類のCD(α、β、γ-CD)を出発原料として用い、長鎖脂質酸部分としてはラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)の導入を行い、一方で糖鎖部分としてはガラクトース、Nアセチルグルコサミン等の単糖を導入し、数種類の両親媒性GlycoCDを系統的に合成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シクロデキストリンと生理活性糖鎖部分のリンカー部位の選択に予想外の時間を費やしてしまったが、概ねその問題に関してはクリアできている。
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今後の研究の推進方策 |
シクロデキストリンと生理活性糖鎖部分のリンカー部位の選択に予想外の時間を費やしてしまったため、予定より研究の進行が遅れてしまっている。本年は、まず安定な単分子膜を形成するための詳細な知見を得ることを早急に行い、得られた単分子膜を用いて、表面プラズモン共鳴(SPR)法により、タンパク質との相互作用に関して検討を行う。
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