研究課題/領域番号 |
22500423
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研究機関 | 財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
梅谷 啓二 財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (50344396)
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キーワード | 放射線治療 / 照射野確認画像 / 放射光 / 屈折コントラストイメージング |
研究概要 |
研究目的:放射光による放射線治療研究での照射野照合において、着目部位の辺縁部分が輪郭強調された画像が得られる屈折コントラストイメージングを使い、非常に鮮明な照射野確認画像を撮影し高精度な治療を可能とする。 平成23年度の成果:平行性が高い放射光での照射野確認画像撮影において、着目部位の辺縁部分が輪郭強調された画像が得られる屈折コントラストイメージングの撮影には、画像検出器を着目部位から数m以上離した位置で撮影する。ここで、実験動物にマイクロビームを照射する既存の制御装置と、平成22年度において整備した画像検出器とを統合して照射中画像撮影装置を開発した。そして、マイクロビーム照射中にすだれ状の画像を撮影し、照射前の照射野確認画像との比較から、ガン組織への照射における照射精度の定量的確認を可能とした。 平成22年度では、照射中画像撮影装置による実験自動化前であり、実験は全て手動操作で行ったため実験効率が低く、実験範囲は広いがデータの質に問題があり定性的な結果が多かった。これに対して、照射中画像撮影装置の開発で実験の自動化が進み、限られた放射光実験時間の中で多くの有効なデータが収集可能となった。 屈折コントラストイメージングは、画像検出器を着目部位から数m以上離した位置で撮影する必要があり、距離に敏感な撮影方法である。このため、平成23年度の実験では、検出器と着目部位の距離を、密着、3m、6mの3種類に増やして、各種の被写体を使った撮影を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、実験動物にマイクロビームを照射する既存の制御装置と、平成22年度において整備した画像検出器とを統合して照射中画像撮影装置を開発し、照射精度の定量的確認を可能とするとともに、実験の自動化を進め多くの有効なデータを収集可能とすることであった。この目標に対して特に問題なく装置開発を進め、平成23年度の目的を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
最後の年度となる平成24年度は、マイクロビーム放射線治療での治療研究自体において、照射野を現状の横20mm×縦20mmから横50mm×縦50mmへ拡大し、ウサギやミニ豚などの中型動物での実験を実施する予定であった。これまでの固形癌の治療研究は、格子状またはすだれ状のマイクロビームX線の線量やマイクロビームの間隔について議論されてきた。しかし、細胞株の放射線感受性と治療効果の関係や、正常組織耐容線量の評価など、実用化にはラット・マウスを使った多くの実験がまだ必要であった。このため、平成24年度は中型動物での実験への対応を行うとともに、ラット・マウスでのさらに精密な治療効果の実験への対応をする予定である。
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