研究概要 |
平成23年度において、遺伝子工学的にStaphylococcus, A protein 由来のZZ domain(IgGのFc domainへの結合能を持つ)とStreptococcus, G protein由来のABD domain(ヒトアルブミン(HSA)への結合能を持つ)の融合タンパクを作製・精製し、この融合タンパクがHSA、IgGの両方に結合能を有していることを確認した。 平成24年度は、まずEGDE架橋HSAフィルムへの融合タンパクの結合を試みた。しかし、融合タンパクはEGDE架橋HSAフィルムには結合しないことが判明した。そこで、BSAフィルムを作製しUV照射によりタンパク接着性に変換後、HSAコーティングを施した。コントロールとして、同様にBSAコーティングしたものも用意した。これらのフィルムを融合タンパク、抗FGF抗体、FGF、ビオチン化抗FGF抗体、ストレプトアビジン/アルカリフォスファターゼで順次処理後、合成基質pNPPと反応させ450 nmの吸収を調べた。BSAコーティングでは吸収がなかったが、HSAコーティングでは顕著な吸収があり本検出系が機能していることを確認した。次にFGFの希釈系列を作製し本検出系のFGFに対する感度を調べたところ、およそ10 ng/mlが検出限界であることがわかった。コーティング時のHAS濃度や抗FGF抗体濃度を変えても検出感度が上がることはなかった。ELISAでは1 ng/mlまで検出可能であった。コーティングしたHAS上に融合タンパクをのせその上に抗体をのせるため、基板上に直接抗体を置くELISAよりも単位面積当たりの抗体密度が低くなったものと考察された。実際にFGFを産生しているL929細胞に本検出系を適用したが、FGFの産生を確認できなかった。
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