研究概要 |
本研究は,生体蛍光断層画像計測技術の実用化研究として,がん転移診断のためのセンチネルリンパ節画像診断装置の開発を目的とする。量子ドットなどによる蛍光微粒子を蛍光マーカとして用い,その集積部位を音響光学効果を利用した超音波タグ蛍光断層画像計測法により画像化し,センチネルリンパ節検索を行う。装置化要素技術としてすでに得られている蛍光の超音波変調原理及びその検出のためのプローブ機構開発のための予備実験データを踏まえ,センチネルリンパ節検出を目的とした臨床診断装置として生体深部20~30mm,解像度1mm,計測時間1分以内(128×128pixel)を目標とし,医用画像診断装置としての実用化研究を行う。 平成23年度は,初年度に試作した超音波焦点扇状走査型プローブによる,蛍光変調動作特性に関する評価実験をさらに進めた。同時に,光学系との最適な結合方法の検討と,画像計測装置としてのシステム化研究を進め,より微量な蛍光分子の画像検出ができるよう高感度化を図るための蛍光変調メカニズムの解析検討を行った。音場における屈折率分布下での光拡散近似とその有限要素法によるシミュレーションを行い,蛍光変調メカニズムが主として超音波焦点での屈折率変化による励起光の強度変調および蛍光分子濃度の変化によることを明らかにした。これにより,本手法を実際の臨床画像診断装置として用いる際に必要となる蛍光強度,蛍光分子濃度など,最終年度である24年度に行うプローブ装置の改良と最終的な装置評価に必要な技術的課題を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蛍光変調メカニズムの解析について,それをまとめた研究論文が学会誌に受理され成果が得られた。現在その結果に基づいて試作プローブの改良,高感度化を計画通り進めており,最終目標とした到達点に向けおおむね順調に進展している。理論解析に充分時間をかけ成果が得られたことで,当初計画通りの研究の進展が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として,達成度評価を中心にとりまとめを意識した研究を行う。前半は試作システムの最終形に向けての,とくに高感度化を志向したプローブの改良を行う。その上で,研究総括を行うが,現状においてとくに研究計画の変更や研究遂行上の問題点はない。
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