研究概要 |
本研究は,生体内部構造や機能を画像化する生体蛍光断層画像計測技術の実用化研究として,がん転移診断のためのセンチネルリンパ節画像検出技術の開発を目的とするものである。外因性蛍光物質の生体内での集積部位を,超音波による音響光学効果を利用して画像化する。この超音波タグ蛍光断層画像計測法によりセンチネルリンパ節検索を行うものであるが,画像診断装置として生体深部20~30mmを解像度1mm程度で観測することを目標として研究を進めてきた。 平成24年度は,これまでに開発した超音波焦点扇状走査型プローブ及び結合光学系をベースに,前年度に行った蛍光超音波変調メカニズムの解析結果を踏まえ,画像計測装置としてのシステム化研究を行った。具体的には,本手法によりセンチネルリンパ節検出を行うために必要な蛍光分子濃度に関する評価を,ファントム試料による測定実験を通じて行った。実用条件を満たすための課題として,蛍光量子収率の高い量子ドットなどの蛍光マーカを対象とするだけでなく,従来臨床においてリンパ節,リンパ管の染色に用いられているインドシアニングリーン(ICG)の近赤外蛍光による生体内画像計測の可能性について評価実験を行った。その結果,深さ10mm程度にて,実用濃度,実用計測時間でICGを検出するためには検出感度をより向上させることが必要であることが判明した。そのための高感度化手法として,変調信号の検出においてより蛍光選択性能を高め,これまでのアナログ検出法を光子計数法によるディジタル検出法に発展させた高感度化技術について検討を行った。それにより,これまでに開発した超音波プローブ走査系や光学系はそのまま用い,信号処理系の改良によりICGへの対応ができる高感度化が可能であるとの結果を得た。
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