・今年度は、腹部・心臓・乳房超音波検査時のモデル的な環境における標準作業負担について検討した。実際に検査をしている状況で、いろいろな角度から評価できるように数台のビデオレコーダーを設置し、問題となるであろう骨格筋の動きに注目しながら実験を進めていった。 ・その結果、腹部・心臓・乳房検査時の作業姿勢の分析などから、まずは筋骨格系の負担の機序が解明できてきた。腹部、乳腺検査においては右肩を挙上する姿勢に、心臓検査においては上半身をひねりながら走査する体勢にリスクがあることが判明した。 ・また、おおよその労働環境の実態を調べるため、直接複数の医療施設に出向き予備調査を行った。施設による労働環境の共通点や相違点などを調べ、また実際に従事している超音波検査技師を対象に、骨格筋や視覚系負担に関する簡単な聞き取り調査を行った。 ・日本超音波医学会第83回学術集会(2010年5月31日)において、モデルを使った超音波検査時の骨格筋負担の分析結果や労働環境および検査者の筋骨格系障害の実態について調査した結果を報告した。 ・来年度は、多くの医療機関(超音波医学会認定施設)や検査士・医師(学会員)を対象にアンケートを実施し、更に海外の学会にて最新情報を収集し、グローバルな観点から筋骨格障害WRMSDの実態把握や労働環境問題について集計・分析する予定である。
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