研究課題
これまでに独自に開発した従来の脳腫瘍セラグノーシスシステムは、診断用と治療用の2つの超音波トランスデューサーから構成されていて、頭蓋外から脳腫瘍の治療と治療過程のモニタリングを行うことが可能なシステムである。本研究ではこの脳腫瘍セラグノーシスシステムの抗腫瘍効果を高めるため、さらに超音波を利用して核酸を腫瘍内にデリバリーし、より効果的に脳腫瘍を退縮させる技術を開発することを目的とした。前年度までに得られた超音波照射条件を活かして本年度、核酸デリバリー用の超音波トランスデューサーを制作してシステムを完成させた。作製したシステムのトランスデューサーは500kHzのもので、脳腫瘍内に導入する核酸についても前年度までの検討を踏まえ、腫瘍抑制因子であるPTENおよび干渉RNA用のROCKアイソフォーム1とした。これにより腫瘍でのPTENの発現の増加およびROCKアイソフォーム1の転写低下が期待できる。さらに超音波照射条件の安全性について昨年度、シークエンサーを用いて中枢神経細胞のトランスクリプトーム、特にストレス関連の遺伝子の転写について網羅的な解析を行い、マウス大脳で星膠細胞、小膠細胞でそれぞれ変化する遺伝子を同定したが、本年度は加えてヒトの神経幹細胞を用いて、照射により発現が変動する遺伝子をマイクロアレイで網羅的に計測した。その結果超音波照射で2倍以上発現が上昇した遺伝子3483、発現が減少した遺伝子2766を同定することができた。この中には発現が100倍以上増加するもの(5遺伝子)や50分の1に低下する遺伝子(14遺伝子)等が含まれていた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Anticancer Research
巻: 32 ページ: 5299-5308