研究課題
超音波は生体に対する深達性に優れるので、外部エネルギーとして用いれば、生体深部にある患部にも適用することができると考えられる。さらに、超音波の音圧に感応して周波数特異的に共振するナノ微粒子でがん組織を標的化すると、このナノ微粒子が目的部位に集積したかどうかを超音波画像診断によって可視化し確認できる。そして、薬物の集積を確認した上で、超音波を照射し、ナノ微粒子を音響化学的に活性化させることで、抗腫瘍効果を発現することができる。そこで、本研究では、DDS単独の技術的な限界を克服することを目的に、遠隔作用力を持つ外部エネルギーである超音波と音響化学的に抗腫瘍活性化するナノ微粒子を組み合わせた新たな治療システムの開発を行うことを目的とした。これまでに、超音波単独、または薬物との併用による抗腫瘍効果を、in vitro腫瘍細胞を用いて確認した。超音波と併用することにより殺細胞効果が発現、または増強されるナノ粒子をスクリーニングした結果、フラーレン、水酸化フラーレン及びトリスフラーレンで優れた増強効果を認めた。活性酸素種消去剤添加の殺細胞作用に対する効果とESRによる活性酸素種の測定から、殺細胞作用機序における一重項酸素の関与を確認した。水酸化フラーレンを用い、マウス皮下に移植した実験腫瘍(Colon26)を対象に、薬物の体内動態と音響化学療法の効果を調べた。水酸化フラーレンを直接腫瘍に注入後超音波照射を行った。薬物・超音波それぞれ単独では効果を生じない投与量と強度において腫瘍の増殖を抑制できることが確認された。この結果からin vivoにおいてもフラーレン誘導体が音響化学的に抗腫瘍活性化されていることが示された。本年度はナノ微粒子の活性化するための超音波を照射条件の詳細な検討とナノ微粒子の音響化学的活性化によるアポトーシス誘導の検討を行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Theranostics
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