本研究の目的は,母指と手指単独の最大筋力の測定に加えて,筋力を調節しながら正確に指標とする方向に運動する能力,いわゆる母指と手指の運動協調性の評価も行い,手のリハビリテーション領域における新しい手の機能評価法を開発することである. 本測定システムは,三分力計を用いた押し力測定装置からなり,押し力測定装置は3台の歪みアンプに接続し,A/D変換装置を介してソフトウェアで制御している.平成22年度から23年度において,従来の押し力測定装置を制御するソフトウェアを改良して,母指と手指の最大筋力の計測に加え,運動協調性の評価が可能となる新しい測定システムの開発に取り組んだ.母指と手指の最大筋力の計測は,従来の方法と同様に三分力計を用いて,X,Y,Z軸の各張力の合力から算出した.運動協調性の評価では,最大筋力の50%に調節する能力,つまり最大筋力50%の位置に追随する目標を設定し,目的位置からの移動距離等を計測し検討した.また母指の筋力及び運動協調性の評価における本法の信頼性と再現性を検証した.なお,平成24年7月には「母指及び手指の評価システム」として特許を出願した.
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