研究概要 |
本研究課題は,不活動に伴い慢性的に生じる疼痛について,骨格筋の退行性変化に着目し,病態の解明を行うとともに,物理的刺激と機械的刺激を組み合わせた新しい治療介入を行い,その影響と作用機序を明らかにすることで,筋萎縮を呈した骨格筋に由来する疼痛に対する効果的な治療方法の開発に向けた基礎的資料を提供することが目的である.平成22年度は,不活動に伴う筋痛の発生状況について行動学的指標を用いて以下の検討を行った.【目的】4週間のギプス固定とその後の再荷重によって引き起こされる筋痛の発生状況を明らかにする.【方法】対象は8週齢Wistar系雄性ラット12匹とし,無処置の対照群6匹と後肢足関節を4週間最大底屈位でギプス固定する固定群6匹に無作為に振り分けた.行動学的評価は,Randall Selitto testを用いてギプス固定開始から0(ギプス固定前),7(固定1週目),14(固定2週目),21(固定3週目),28(固定4週目),29(再荷重1日目),30(再荷重2日目),31(再荷重3日目),33(再荷重5日目),35(再荷重7日目)日目に下腿三頭筋の圧痛閾値を測定し,筋痛の発生状況について経時的に検討した.【結果および考察】対照群では,実験期間中に下腿三頭筋の圧痛閾値は変化しなかった.一方,4週間のギプス固定と再荷重を行った固定群では,ギプス固定3週目より下腿三頭筋の圧痛閾値は低下し,再荷重5日目まで低値を示した.このことから,ギプス固定3週目より筋痛が出現し,ギプスを除去し再荷重を行っても5日間は,筋痛が持続していることが確認された.我々が行った先行研究の結果も踏まえると,この筋痛の原因には,ギプス固定よる循環障害や再荷重による筋損傷が関与している可能性が考えられた
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