研究概要 |
平成23年度は,不活動に伴う筋痛の発生状況について検討することを目的に以下の実験を行った。 1.ギプス固定を用いたラット後肢の不動化による疼痛の発生について ラットを用い,両側足関節を最大底屈位で4週間ギプス固定することで疼痛が発生するか検討した。 Randall-selitto testにより,腓腹筋外側頭における筋圧痛閾値を測定した結果,ギプス固定を開始し3週目から低値となり,固定を解除してから7日目以降は固定前と同程度まで上昇した。すなわち,ギプス固定による不動化は疼痛の発生をもたらし,固定を解除された後も疼痛が持続することが確認された。 2.疼痛に対する間歇的伸張刺激(ストレッチング)の効果について 上記1と向様の方法でラット足関節に4週間ギプス固定を行い,固定解除後に2週間,下腿筋群にストレッチングを1日30分間施行し,疼痛におよぼす影響を検討した。疼痛を評価する方法として,腓腹筋に対するRandall-Selitto test,ならびに足底に対するvon Frey hair testを行い,刺激に対する逃避反応閾値を測定した。その結果,ストレッチングを実施した群は,未実施の群に比べ,早期に逃避反応閾値の改善が得られた。すなわち,ストレッチングはギプス固定解除後に生じる疼痛を改善する可能性が推察され,疼痛に対するストレッチングの有効性が窺われた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,平成23年度に得られた結果をもとにさらに実験を進め,ギプス固定後に熱刺激,さらには熱刺激と間歇的伸張刺激を併用して施行し,疼痛におよぼす影響を検討する。また,組織病理学的・免疫組織化学的検索手法や生化学的検索手法を用いることで,熱刺激ならびに間歇的刺激による介入効果をより詳細に検証していくことを計画している。
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