研究概要 |
不活動に由来する疼痛の病態解明と治療法の開発に関する実験的研究として、ラット後肢に対するギプス固定により、モデルを作成し、疼痛関連の評価とともに機械的刺激の影響について検討した。不活動に由来する疼痛として、以下の評価を行なった。行動学的評価は、腓腹筋に対する逃避反応閾値測定、足底に対する逃避反応回数測定を、病理組織学的評価は、腓腹筋の壊死線維数測定を、 分子生物学的評価は、 第4~6 腰髄の後根神経節および脊髄後角を標本とし、RNA 抽出および Real-time PCR 法を施行した。その結果、逃避反応閾値の低下および逃避反応回数の増加が固定終了直後より観察されたが、機械的刺激による介入群ではこれらの指標が早期に回復する傾向が見られた。また、組織学的所見では,固定群は介入群に比較し、著明な筋損傷が認められた。さらに、分子生物学的評価では脊髄後角における BDNF mRNA 発現量が固定群において高値を示した。これらのことから、不活動に由来する疼痛は筋および皮膚の両者に発現し、その病態に BDNF mRNA 発現の関与が推察された。
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