研究課題
これまでの研究で軟骨細胞をコラーゲン器質内に包埋し.三次元的環境を維持した上で力学的刺激を加えると軟骨器質産生能が維持される事を明らかになった.力学的刺激はおそらく細胞表面上の接着因子を介して伝えられ、細胞内のセカンドメッセンジャーを介して細胞外器質産生能の亢進をきたしていると推測される.それまで刺激を受けていない軟骨細胞を同じ装置に同じ培地を用いて装填するだけで細胞が活性化することから、何らかの液性因子が力学的刺激を契機に分泌されていると推察される.3次元培養力学的刺激システムでこれを調べたところ、力学的刺激に反応してIL-4の産生が活性化されることが判明した.刺激後のIL-4の発現亢進と細胞外器質の産生亢進について刺激後の経時的変化を調べたところ刺激後7時間から24時間までIL-4産生が亢進することが判明した.さらにIL-4を投与すると力学的刺激を加えていないのに、力学的刺激と同様の細胞外器質の産生亢進が起こることが判明した.以上の結果は力学的刺激された軟骨細胞はIL-4を分泌して、周囲の細胞とその力学的刺激下の環境についての情報を共有しているとの我々の仮説によく合致している.IL-4を加えると軟骨細胞に力学的刺激を加えなくても、あたかも力学的刺激が加わったかのように軟骨器質産生能が亢進するはずである.さらに「力学的刺激された軟骨細胞はIL-4を分泌して、周囲の細胞とその力学的刺激下の環境についての情報を共有している」との仮説に合致するならば、IL-4拮抗薬で力学的刺激の効果が抑止されるはずであるが、この研究については今後に予定しているところである.
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