研究概要 |
日本褥瘡学会のガイドラインでは,直流微弱電流刺激は推奨度B(行うよう勧められる)の治療であるが,設定条件が不明確である。そこで,挑戦的萌芽研究で確認された刺激条件を設定できる直流微弱電流刺激装置を開発した。その仕様は,単極性で皮膚抵抗に影響を受けない回路システムを組み込み,刺激強度:0(対照群),50μA,100μA,150μA(介入群)とし,刺激周波数:2Hz(刺激頻度;4800回);刺激パルス幅250msec,タイマー60分間の機器で,二重盲検法による無作為対照試験として実施できるように改良した。直流通電用の電極は院内感染のリスクに配慮して,ディスポーザブル製品と消毒可能な器具(塩化銀電極針)とした。創傷部には創傷を被覆するポリウレタンフォーム材(ドレッシング材)、に塩化銀電極針を埋設した関電極と不関電極(心電極)を約10cm離し,有効な電流値を測定し問題がないことを確認した。臨床試験中には同一体位をとる必要があるので,安楽で褥瘡を予防できる協力患者の体位について検討した結果,30゜側臥位で股関節内旋位が良肢位であるこどが確認できた。 次年度から開始する多施設共同研究では,協力病院に統一の治療機器と実施方法の映像(DVD)を提供し,研修体制も整備した。治療効果の確認指標として,創面の評価は日本褥瘡学会により開発された褥瘡の状態を評価する尺度DESIGN-Rを使用し,トレーシングにより創面の面積を測定し,本学研究チームで演算処理し,創面積の詳細なデータをまとめる体制を整備した。
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