研究課題
脳卒中片麻痺患者において方向性の注意障害や片麻痺を改善させるには、目標とした位置へ、手や指などの身体部位が到達するように、意図した運動を実現した上で積極的に反復することが重要である。この運動を妨げる要因には、(1)片麻痺、(2)運動や行動に対する注意の低下などがあり、これらが複合して麻痺肢の機能回復や日常生活動作(ADL) 能力の向上を阻害している。本研究は、脳卒中片麻痺患者に対して、(1) 脳活動をモニタリング、かつフィードバックしながら、注意やパフォーマンスの向上に有効な刺激を選択、調整、決定し、(2)運動や行動に対する意図や注意を高めた状態で、意図した運動を反復、(3)その結果としてパフォーマンスの改善を図り、最終的に(4)これらを備えた多種感覚誘導性注意運動改善システムを開発することを目標としている。平成24年度の目標の一つは、片麻痺を改善させるために新しい多種感覚入力刺激による運動、訓練方法を開発することであった。従来、促通法では片麻痺を改善させるという確かな根拠は得られていなかったが、我々は、意図した運動を視覚・聴覚刺激をも組み合わせた促通法で実現した上で、さらに高頻度に反復するという新たな片麻痺治療法、すなわち促通反復療法を開発した。今回、脳卒中回復期における片麻痺上肢に対する促通反復療法の有効性を検討するため、治療時間をマッチングさせた伝統的通常治療をコントロールとしたランダム化比較試験を実施し、伝統的通常治療に対して促通反復療法の有用性が有意に高い結果を示す研究成果を論文や学会において発表した。さらに視覚性リーチング運動課題遂行中に感覚刺激の入力を変化させ、反応時間などの変化を計測するシステムを完成させた。今後パフォーマンスや脳活動の変化について計測、データを蓄積して行く。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Neurorehabilitation and Neural Repair
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http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~rehabil/index-j.html