研究概要 |
脳卒中によって生ずる片麻痺の状態から,自立した歩行機能を回復するための訓練方法を見出すことは重要な課題である。通常,片麻痺患者の歩行機能回復訓練では,理学療法士などの介助者が付きっきりで対応することが多く,その人的負担は大きい。そこで,患者が自律的に行える歩行訓練装置などの訓練支援システムが切実に求められている。このような課題に対して,われわれは、脳卒中片麻痺患者に対して患者の歩容に合わせて歩行遊脚側下肢に振動刺激を加えることによる歩行訓練支援システムの開発を進めている。 平成22年度は、歩行靴足底につけた荷重センサ信号に基づき適切なタイミングで患者下肢に振動刺激を加える制御方法についての検討を行った。本年度は、操作時間短縮による患者の負担軽減、臨床利用の際に医療従事者でも利用可能とすることを主な目的として、制御プログラムのユーザーインターフェイスの改善を中心に行なった。それらの内容は、(1)記録する計測データを計測項目ごとに保存する時、ボタン操作を中心にフォルダ名を自動設定する仕様、(2)データを保存するフォルダは、被験者、日付、歩行試技の種類(平地床歩行、トレッドミル一定速度、速度漸増歩行など)などの項目で分け、階層的に分類して保存する仕様、(3)ファイル名は、振動刺激の有・無、歩行順の通し番号、刺激の有無別歩行試技の通し番号を自動的に付けていく仕様などであった。これらの機能は、健常者や脳卒中片麻痺患者を用いた試験計測で動作を確認した。
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